Nikonのマニュアルカメラの最高峰、F3です。十数年前に初めて買った一眼レフです。
当時、出版社で働いていて、よく仕事をお願いしていたカメラマンの方が使っていたF3に密かに憧れてました。カメラのことについてまったく無知だったのですが、そのカメラマンの方は仕事の合間に露出や構図などについていろいろと教えてくれて、すごく勉強になりました。
もちろんその頃にはAFのカメラもたくさん出ていましたが、そのカメラマンの方の多大な影響により、「買うならF3しかない!」と思い込みまして、中古ですけど貯金を下ろしてF3を購入。同時に、50mmのレンズと、単体の入射光式露出計も買ったものですから、貯金の残高は限りなくゼロに近い数字に…。そのときは、F3のファインダー視野率100%というのが、とてつもなく魅力的でした。
そして毎週日曜日になると、F3を持って原宿ラフォーレ前に行き、オシャレな女の子たちに声をかけては、写真を撮らせてもらってました。ほとんど断られませんでした。今では考えられないですね。
使っていたフィルムはポジで、フジのプロビアでした。会社で余っていたのを拝借です(笑)。ポジということもあり、単体露出計で出た数値を中心に絞りを上下1/2段ずらして1ポーズにつき3枚ずつ撮りました。さらにアングルを変えたりして、1人につき12枚くらいは撮りましたね。そうやって、午前中から日が落ちるまでで、1日に12か13人くらい撮影してました。
現像は、会社が契約していたラボに、仕事の写真に紛れ込ませて出していたので、タダでした(笑)。もう、時効ですよね。家には小さなライトテーブルを買い、その上にポジを置いてルーペで覗き込んでは「暗かった…」「手ぶれしてる…」などと一人でぶつぶつ言ってました。その失敗を踏まえて、次の日曜日にまたラフォーレ前に行きました。その繰り返しです。
そのうち、別のレンズも欲しくなり、給料を少しずつ貯めて35mm F1.4、24mm F2を買いました(これも同じカメラマンの方の影響で)。とにかく明るいのじゃないと嫌だったんです。貧乏なんか平気でしたね。
レンズ3本を使い分けながら、ラフォーレ前で女の子を撮影。結構いい練習になったと思います。なのに、今の写真の腕がたいしたことないのが悲しいです。
現在使っているカメラはNikon D70、COOLPIX S50、あと携帯ですがF905iです。F3はまったく使っていません。でも、手放す気にはなれないです。単体露出計と、レンズ3本も。
そのうち、F3を持ってどこかに撮影に行こうかなと思ってます。ただ、ラフォーレではないです(笑)。