現在、手元にあるCarl Zeiss(カールツァイス)のPlanar(プラナー)は、次の4本です。
●ハッセルブラッドVシステム用
・Planar C80mm F2.8 T*
・Planar C100mm F3.5 T*
●ニコン用 ZFマウント
・Makro-Planar T* 2/50 ZF
・Planar T* 1.4/85 ZF
筆者が最初に使用したプラナーは、ハッセルブラッドVシステム用のもの。その写りは非常に素晴らしいです。それでニコン用のものも欲しくなり、まずはPlanar T* 1.4/85 ZFを、続いてMakro-Planar T* 2/50 ZFを入手しました。
Makro-Planar T* 2/50 ZFを購入する際には、Planar T* 1.4/50 ZFとかなり迷いましたね。F1.4という明るさが魅力だったからです。しかし、最終的にはマクロという部分で、Makro-Planar T* 2/50 ZFに決めました。このマクロ機能、とても役立っているので、購入して大正解です。
というわけで今回は、このMakro-Planar T* 2/50 ZF について書いてみたいと思います。
ちなみに、Planar T* 1.4/85 ZF のレビューもあります。
Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZFのスペックなど
詳細スペック
COSINA(コシナ)製、ニコンFマウント(Ai-S)互換のZFマウント、2007年発売。詳細スペックは下表のようになります。
レンズ構成 | 6群8枚 |
画角 | 46°/39°(対角線/水平線) |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
絞り値 | f/2~f/22 |
撮影距離 | 0.24m~∞ |
最近接撮影範囲 | 48×72㎜ |
フィルター径 | φ67㎜ |
最大径×全長 | φ72×64.2㎜ |
重量 | 510g |
対応マウント | ニコンAi-S |
大きな特徴はハーフマクロであること
このレンズの大きな特徴は、最大撮影倍率が1/2倍のハーフマクロであること。最大撮影倍率とは、被写体の実際の大きさと、最短撮影距離のときにイメージセンサー(撮像素子)に写る像の大きさの比率です。
たとえば、最短撮影距離のときに、2㎝の被写体が、イメージセンサーにも同じく2㎝で写るなら、最大撮影倍率は1倍。同様に、2㎝の被写体が、イメージセンサーには半分の1㎝で写るなら、最大撮影倍率は1/2倍になります。Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZFは、これが1/2倍のハーフマクロになっています。
138,000円(税込)
作例:F値による比較
ここからは作例を紹介します。まずは、F値を変えて撮ったものの比較を、いくつかしてみたいと思います。
使用したカメラは、Nikon D610(フルサイズ、有効画素数2,426万画素)です。
マクロ撮影
まずは、マクロ撮影から。
開放のF2。
2段絞ってF4。
開放のF2でもピントの合っているところは非常にシャープで、ボケもキレイ。ただ、この距離で開放だと、さすがに被写界深度は極薄。F4の方がボケと全体のバランスが良く、フォークへの照明の反射が抑えられて落ち着いた印象です。
またF2では、周辺光量の低下があります。
開放のF2。
2段絞ってF4。
やはり、近撮でF2だと被写界深度が極薄で、(特に前の)ボケが強いため被写体の全体像が伝わりにくいかも…。F4くらい絞れば、ボケのバランスが良くなって、全体像が強く前に出てきているように見えます。
そして、この2枚はあえて暗めに撮ったのですが、背景の白い紙に落ちる影のグラデーションがキレイで、ピントの合っている部分では紙の質感も感じられます。
開放のF2。
1段絞ってF2.8。
F2では、やはり周辺部分の光量低下があり、中心部分は光の反射が強くて描写もややソフトな印象。F2.8の方が、全体的にスッキリしています。ただし、F2の方は“味がある”とも言えるでしょう。
通常の撮影
続いて、マクロではない通常の撮影です。
開放のF2。
1段絞ってF2.8。
F2では、背景のボケがグルグルに…。1段絞ったF2.8だと、ボケが落ち着いてスッキリした感じになっています。
ちなみに、これは小学生が何かの実験をした残骸のようです。
開放のF2。
1段絞ってF2.8。
F2では周辺光量の低下がありますが、こうした画の場合は、それが主題を浮かび上がらせる効果をもたらしてくれて、良い感じになっているように思います。
そして、古くて錆びついた金属の質感が良いです。
自由作例
ここからは、自由に撮った写真です。
葉、花、枝
カメラは、Nikon D610です。
スニーカー、HASSELBLAD
以下の記事の写真も全て、Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZFで撮ってます。カメラはNikon D850(フルサイズ、有効画素数4,575万画素)です。
いくつか抜粋。
pipoo×kagalibi ONE MAN LIVE
以下の3枚も、カメラがNikon D850になります。
おわりに
マクロレンズの多くは最大撮影倍率が1倍で、その点においては、1/2倍のハーフマクロであるCarl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZFは見劣りします。しかし、ハーフマクロでもかなり寄れるので、筆者の場合は、それで物足りなく感じることはありませんでした。
それに、一般的なマクロレンズの開放値はF2.8ですが、Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZFは1段明るいF2。開放時の描写とボケに多少のクセはありますが、そこまで気になるほどではなく、画によってはむしろ味となることもあるので、それはこのレンズの面白いところではないでしょうか。
138,000円(税込)
なお、Makro-Planar T* 2/50の新しいモデルは、以下になります。