Nikon D850を購入しました。これまでNikon D610を使用していたのですが、いくつか不満な点があったのと、購入してから4年以上が経過したので、「そろそろ買い替えても良い頃だ! そうに違いない!」と自分に言い聞かせました。
というわけで今回は、D850を手にし、実際に撮影してみたうえでの感想を、D610との違いを踏まえながら書いてみたいと思います。
目次
デジタル一眼レフの用途、不満など
まず、筆者がデジタル一眼レフで、どんな場所で何をどのように撮るか、それに対してD610では何が不満だったのかについてです。
撮影用途と使用レンズ
撮影するのは主に、ブログ等に掲載するモノ、ライブハウスでのアーティスト、スナップ写真などです。
使用するレンズは主に、上の写真にある3本。左から、
・Carl Zeiss Distagon T* 2/28 ZF
・Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZF
・Carl Zeiss Planar T* 1.4/85 ZF
です。
全てマニュアルなので、1枚1枚ピントリングを回してピントを合わせ、比較的じっくりと撮ります。連射は、ほとんどしません。
D610に対する不満
主な不満点は、次のようなものでした。
ファインダー像が小さく感じていた
筆者はマニュアルレンズでピントを合わせるときに、D610(ファインダー倍率は約0.7倍)だとファインダー像が小さく感じて、いつも「もう少し大きく見えてくれたらなー」と思っていました。
ISO 6400では足りない
D610の撮像感度は常用でISO 6400まで。これだと、ライブハウスでの撮影は、けっこう厳しいものがありました。例えば、以下の写真。
【date】2017/9/9(土)
【place】下北沢lete
【title】pipooワンマンライブ
【act】pipoo
guest musician 佐藤舞希子
この2枚は、D610にCarl Zeiss Distagon T* 2/28 ZFを装着して撮りました。上の写真がF2.8、1/50秒、ISO 6400です。下がF2、1/60秒、ISO 6400です。ISO 6400だと、シャッタースピードが遅くなって、ブレやすくなってしまいます。
D850に期待していた点、懸念していた点
次に、何を期待してD850を購入しようと考えたのか、同時にどんな懸念があったのかについてです。
期待していた点
ファインダー倍率が約0.75倍と高い → とても見やすくて、マニュアルレンズのピントが合わせやすい
D610のファインダー内。ファインダー倍率は約0.7倍
D850のファインダー内。ファインダー倍率は約0.75倍
上の2枚の写真は、D610とD850のファインダーにiPad miniをピッタリくっつけて(ちょっと曲がってしまいましたが…)、同じズーム倍率で撮影したものです。なので、実際に見た場合の比率も、上の写真のようになります。
そして見てのとおり、D850のファインダーの方が大きいので、かなり見やすいです。初めてファインダーを覗いたときに、思わず「わぁ、すごい!」と言ってしまいました。これなら、マニュアルレンズのピントが合わせやすいです。
ちなみに、筆者がこれまで使ってきたニコンの一眼レフは、F3(アイレベル)、F5、D70、D300です。このうち、ファインダーが一番大きくて見やすいのはF3(アイレベル)で、ファインダー倍率は0.8倍。これに、D850はかなり迫っていると思います。
なお、F3はまだ手元にあります(下の写真)。
常用でISO 25600と高感度 → 速いシャッターが切れて、ブレが改善できる
前述のように、D610の撮像感度は常用でISO 6400までで、ライブハウスでの撮影ではシャッタースピードが遅くなってブレに苦戦することがありました。
一方のD850の撮像感度は、常用でISO 25600もあります。まだライブハウスでは撮影していませんが、試し撮りをした上の写真はF11、1/125秒、ISO 16000で、この感度でもノイズはほとんど見られず、普通に使えます。これならライブハウスでのブレが、かなり改善されることが期待できるでしょう。
※追記
実際に、D850でライブハウスでの撮影をしました。
1枚目はレンズがCarl Zeiss Distagon T* 2/28 ZFで、F5.6、1/125秒、ISO 16000です。2枚目と3枚目はレンズがCarl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZFで、それぞれ F5.6、1/100秒、ISO 25600と、F5.6、1/125秒、ISO 11400です。
撮像感度はかなり高いのですが、ノイズはほぼ気になりません。そして、いずれもシャッタースピードは1/100秒以上で、ブレはかなり軽減できました(あとは筆者の腕の問題です…)。
フォーカスポイントが多く、フォーカスエイドの範囲が広い → 範囲は広くなったが、使い勝手はそれほど変わらない
出典:onlinemanual.nikonimglib.com
筆者はマニュアルでピントを合わせる際に、フォーカスエイドを参考にすることがあります。フォーカスエイドとは、選んだフォーカスポイントでピントが合うと、ファインダー内の左下にあるピント表示(●)が点灯して知らせてくれる、という機能。
フォーカスポイントはD610は39点ですが、D850では55点と増えているので、フォーカスエイドの可能な範囲が広くなり、マニュアルでのピント合わせはやりやすくなりました。
ただし、範囲が広くなったと言っても、やはり中央部分に限られるので、そこまで使い勝手が変わったとは感じませんでした。フォーカスエイドはあくまで補助で、やはり被写体を見てピントを合わせるのが良いですね。
それに、前述のようにD850のファインダーは大きいので、それだけでマニュアルレンズのピントは合わせやすいですから。
ちなみに筆者の場合、中央部分に限られるフォーカスエイドに頼ってばかりいると、その範囲に被写体を入れようとして、構図が崩れてしまうことが多々あります。これは要注意。
懸念していた点
寸法が大きくなる → そんなに気にならない
カタログでの寸法(幅×高さ×奥行き)は、D850が約146×124×78.5mm、D610が約141×113×82mmと、D850の方が一回り大きくなります。
実際に持ってみた感じも、やはりD850が一回り大きいですね。しかし、それで持ちにくいとか、撮りにくいといった感じはありません。
影響があったのは、カメラバッグがすこしキツくなって、出し入れがしにくくなったことくらい。でも、入るからいいです。
重量が重くなる → そこまで違いは感じない(レンズが重いし…)
D610の実測値は866g(SDカードとバッテリー込み。ボディキャップとストラップは含まず。以下同)
うちにあるTANITAのデジタルクッキングスケールで実際に量ってみたところ、D850は999gで、D610よりも133g重いです。
持ち比べれば、重さの違いは確かにあります。しかし、レンズを装着して構えてみると、D610でもそれなりの重さだったので、D850もそんなには変わらないと思いました。これには、D850のグリップが深くなっていて、持ちやすいということも関係していますね。
ちなみに、レンズの重さは次のとおりです(フードとフィルター込み。キャップなし)。
それから、うちにあるTANITAのデジタルクッキングスケールは1kgまで量れるのですが、D850(999g)にストラップ(35g)を付けると、表示が「EEEE」(エラー)になってしまいます。なので、ストラップ抜きで図りました。
さらに、どうでもいいことですが、このデジタルクッキングスケールは、正確には1008gまで計れます。パスタを乗せて、1本ずつ増やしていって、1008gを超えると「EEEE」と表示されることを確認しました。
ファイルサイズが大きくなるので、手持ちの64GB SDカードで足りる? → 十分足りそう
出典:www.amazon.co.jp
手持ちのSDカードは、D610と同時期、4年以上前に購入したSanDisk Extreme Pro 64GBです。使用しているファイル形式はRAW 14ビット ロスレス圧縮。
D610(2426万画素)の場合、1枚のサイズは27~33MBでした。1回の撮影で撮る枚数は、多くても350枚くらいで(連射しないですし)、合計は10GBくらいです。
そして、D850(4575万画素)で同じファイル形式で撮ってみたところ、1枚のサイズは55~76MBでした。D610の約2倍です。でも、1回に撮る枚数が350枚だとして、合計で20GBくらいなので、手持ちの64GB SDカードで十分足りそうです。
ファイルサイズが大きくなるので、RAW現像が重いかも? → 予想以上に重くなった
出典:www.nikon-image.com
筆者は、撮影したRAW画像の閲覧や管理には Nikon ViewNX-iを、現像にはNikon Capture NX-Dを使用しています。RAW現像では、露出とホワイトバランスの調整、傾き補正、レタッチブラシでのゴミ取り、トリミングをするくらいです。
PCは自作したもので、主なスペックは次のとおりです。
D610(2426万画素)で撮ったRAW画像(27~33MB)の現像では、ときどき表示がワンテンポ遅れることはありましたが、そんなには気になりませんでした。
しかし、D850(4575万画素)で撮ったRAW画像(55~76MB)を現像してみたところ、初めはいいのですが、操作を繰り返しているうちに、表示や修正の反映に20~30秒かかったりすることが度々あります。これは予想以上の重さ。「あれ、フリーズした?」と思って、そのまましばらく待つと表示される、というのが繰り返されるのは、けっこうなストレスですね。
とりあえず、メモリを増設して32GBにする予定です。
※追記
メモリを増設して、32GBにしました。表示や修正の反映の遅さは、多少は改善されたように思います。しかし、快適とまでは言えません。これは、PCのスペックの問題ではなく、Nikon ViewNX-iとCapture NX-Dが重すぎるということですかね。
その他、D850にして良かった点
最後に、期待していたわけではないが、D850にして良かった点を書いてみたいと思います。
思った以上に画質が良い
最初の方でも載せたこの2枚の写真ですが、上はD610(有効画素数2,426万画素)で撮ったもので、下はD850(同4,575万画素)で撮ったものです(つまり、お互いに撮り合ったということ)。使用したレンズは、どちらもCarl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZFと同じ。
こうして比較してみると、D850で撮った写真の方が画質が良く、ボディの質感がより出ていているように思います。
これまで、画質についてはD610でも特に不満はなく、それ以上は求めていませんでしたし、画素数が増えても違いはそんなにないのではないかと考えていました。しかし、実際にD850で撮った写真の画質が向上しているのを見ると、D850を購入して正解だとより強く思えます(そう自分に言い聞かせています!)。
※追記
D850でお花見の様子を撮影しました。そのうちの何枚かを紹介します。レンズはCarl Zeiss Planar T* 1.4/85 ZFです。「とてもキレイに撮れてるね」と、みなさんに喜んでいただけました。
ファインダー内水準器が使いやすい
筆者は、Fnボタンにファインダー内水準器を割り当てて、撮影中によく見ます。このファインダー内水準器が、D850で使いやすくなっていました。以下に、D610との違いです。
D610では、シャッタースピード・F値・ISO感度などの表示と排他
上の写真がD610の通常時のファインダーで、下の写真がファインダー内水準器を表示させたもの。このように、D610ではファインダー内水準器を表示させると、シャッタースピード・F値・ISO感度などの表示が消えてしまいます。
そのため、撮影しながらFnボタンを何度も押して表示を切り替えることになり、とても使いにくかったのです。
D850では、同時にシャッタースピード・F値・ISO感度なども表示される
上の写真がD850の通常時のファインダーで、下の写真がファインダー内水準器を表示させたもの。こちらは、シャッタースピード・F値・ISO感度などの表示はそのままです。これが使いやすいですよね。
また、下の写真を見ると分かるように、D850では水平方向だけでなく、前後方向にも水準器が表示されます(D610は水平方向のみ)。これも便利。
そして、D850のファインダー内水準器は、ファインダー内格子線との排他利用になります。これが合理的ですね。
おわりに
上記のNikon D850についての感想は、これまでD610とCarl Zeissのマニュアルレンズを使ってきた筆者が、やはりマニュアルレンズを使うことなどを前提として書いたものです。これは、とても個人的な使い方であり、D850の性能を活かしきれているとは言えませんし、異なる使い方をする(AFレンズで連射したりする)ユーザーには全く参考にならないかもしれません。その場合には仕方がないので、他のサイトを参考にしてくださいね。
ちなみに、D610は もうすぐ旅立ちます 旅立っていきました。