現在、手元にあるCarl Zeiss(カールツァイス)のレンズは、ニコン用のZFマウントとハッセルブラッドVシステム用を合わせて9本。そのうち4本がPlanar(プラナー)です。
プラナーという名は、初代のものの光学設計が完全に前後対称で、歪曲収差が抑えられ像の平坦性に優れていたので、ドイツ語で「平坦」を意味する「Plan(プラーン)」からきているとのこと。そのうち85mm F1.4のプラナーは、絞り開放付近でのキレイなボケと、数段絞り込んだ際の精緻な描写で、ポートレイト撮影用として評価されていますね。
というわけで今回は、手元にあるCarl Zeiss Planar T* 1.4/85 ZFと、撮影した写真を紹介したいと思います。
Carl Zeiss Planar T* 1.4/85 ZFのスペックなど
出典:item.rakuten.co.jp
COSINA(コシナ)製、ニコンFマウント(Ai-S)互換のZFマウント、2006年発売。詳細スペックは、以下のようになります。
レンズ構成 | 5群6枚 |
画角 | 28.5゚/24゚(対角線/水平線) |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
絞り値 | f/1.4~f/16 |
撮影距離 | 1m~∞ |
最近接撮影範囲 | 24×36㎝ |
フィルター径 | φ72㎜ |
最大径×全長 | φ77×62㎜ |
重量 | 570g |
対応マウント | ニコンAi-S |
作例:F値による比較
使用したカメラは、Nikon D610(フルサイズ、有効画素数2,426万画素)です。
公園の遊具
開放のF1.4。
一段絞ってF2。
F1.4でも、遊具の輪郭などの描写は非常にシャープ。開放からでも、十分に使えます。ただし、F2の方が光沢のある質感がより表れているように見えます。また、F1.4では周辺光量の低下が多少あり、中央部分がややソフトな感じになっています。
開放のF1.4。
一段絞ってF2。
F1.4だと、やはり多少の周辺光量の低下と中央部分のソフトさがあります。F2になると、柔らかい描写と解像度のバランスが上手くとれているように思います。
開放のF1.4。
1段半絞ってF2.5。
F1.4だと、こうした被写体では線が弱くなってしまう感じですし、二線ボケで後ろの滑り台や電柱の像が少し乱れてしまっています。F2.5の方は被写体の輪郭がシャープで、後ろのボケも素直でキレイ。
枝葉
開放のF1.4。
一段絞ってF2。
こうした被写体の場合、F1.4だと画的に柔らかすぎる感じがしますし、後ろの玉ボケも少しうるさいかもです。F2の方が、一枚一枚の葉とその折り重なりがキレイ。
自由作例
ここからは、自由に撮った写真です。
渋谷駅構内の地下道
使用カメラはNikon D610、絞りはすべて開放のF1.4です。
開けて撮ると、被写体が浮き上がる立体感のようなものがあります。また、自動改札のアルミ部分に反射する光や、背景の案内板の光がキレイに写っていると思います。
ヒカリエと渋谷駅をつなぐ跨道橋
使用カメラはNikon D610、絞りはすべて開放のF1.4です。
ヒカリエと渋谷駅を、明治通りの上を越えてつなぐ跨道橋。白を基調とし、左右から自然光がたくさん差し込む空間の中で、ガラスや窓枠、通行人の服やバッグなどが柔らかく写っていると思います。
夜間の撮影
絞りは全て開放のF1.4。使用カメラは、Nikon D610です。
バス停のベンチ。被写界深度の浅いF1.4で、板の段差にピントを合わせるのにすごい苦労しました。
車のボデイの光沢感が、とてもよく出ています。
遠景の撮影。団地通路の蛍光灯の光が壁に柔らかく反射しています。
暗闇の中に電話ボックスが映えます。コントラストも良いのですが、光が弱く当たっている部分の描写も良いです。
お花見
以下の3枚は、カメラがNikon D850(フルサイズ、有効画素数4,575万画素)になります。
お花見の様子を撮影したうちの何枚かを紹介します。「とてもキレイに撮れてるね」と、みなさんに喜んでいただけました。
pipoo×kagalibi ONE MAN LIVE
以下の3枚も、カメラがNikon D850になります。
おわりに
Carl Zeiss Planar T* 1.4/85 ZFは、開放のF1.4だと中心部分がややソフトになり、画によってはボケで後ろの像が乱れることがあります。一段絞ったF2なら、描写の柔らかさと解像度のバランス良くなり、さらに絞ればよりシャープな画が得られるでしょう。
しかし、F1.4での被写体の浮き上がる感じがとても面白いですし、描写性能としても実用性は十分なので、シーンを選びながらですが、今後もきっとF1.4で撮影してしまいそうです。
なお、Planar T* 1.4/85 ZFの新しいモデルは、以下になります。